japanese tip と私(⑥旅人に直撃3)
(インタビューつづき)
ぱ「この企画や取り組みが理解されないとかいう類の苦労エピソードはありますか?」
た「“おまえは何もしてない”って話で、“車ががんばってるだけや”って言われたり」
ぱ「くるま?!(爆笑)車たしかにがんばってはるけれどもやね」
た「そう。めっちゃがんばってくれてる。あとその、さっき言ってたみたいに、おまえが歩いてる意味がわからんと。そうやって広めてるのも時間の無駄やと言われたりとか、“なにそれ”“そんなことして意味あるのか”って根本を問いただされたり。しかもその人が商店街のドンだったり飲食に関わってる人やと、こっちも、なんていうかな、もう一回考えさせられるというか。うん。」
- 街のちょっとしたムーブメントになればいいかなと
ぱ「なるほど・・・。私もね、すみません、ちゃんと理解してなくて申し訳ないんですけど、箸袋を集めてるってうかがって、Japanese TipのFacebookで淡々とあがってる“協力してくれるお店が増えました”って投稿だけ見てると、箸袋を扱ってるお店だけをピンポイントまわってるのかなって勝手に思ってて、それと街歩きをすることとの関連性がちょっとぴんときてなくて。宮崎ではキママブックスさん行ったり恋史郎コーヒーさん行ったり、箸袋と直接的には関係なさそうなお店も行かれてましたよね。街歩きをする理由についてききたくて。まあ言えば、言葉は悪いけど、単純に非効率的なんじゃないかなって思ったりして。気を悪くしたらごめんね。」
た「あーいやいや。」
ぱ「その街を知りたい?その街の人と交流したい?」
た「いや、“街として広めたい”じゃないですけど、うーん、なんか、感じたのは、こうやって今ぱっこりんさんとお会いしたりとか、キママさん行ったり恋史郎さん行ったりすると、まずそのお店の人が箸袋を考えるきっかけになるというか」
ぱ「たしかに、箸袋についてこんなに考えたことなんてなかったもん!自分の暮らしに
新しいフィルターが設定されました!」
た「あとは、事前に自分でネットで調べたりして、だいたいのあたりはつけてこの店オリジナルの箸袋いい感じだから行ってみようって候補がメモにあっても街でいろんな人にきくのは、その人が自分のメモ以上の情報を持ってはる可能性があって、こういうのを愉しんでやってくれはる人につなげてくれる場合があるからっていうのがありますね。」
ぱ(自分でちゃんと調べた上で聞き込みするから、ちゃんと成果あがったりドラマ起きたりするんだろうな。えらいなー)
た「そのきっかけになる話でいうと、“箸袋について考えたことないわー”って声よくきくんですけど、自分ではわからんけど、じゃあこの人なら知ってるかもって人を紹介してくださったりするわけですよ。で、その人もまた考えてくださって、そうやって何人かが考えてくださった輪のなかに協力店があると、店単体として動いているわけではなくて、まわりの方々も意識して参加してくださるようになるっていうか」
ぱ「より有機的になるっていうか発展性が見込めるわけだ。すげーな辰巳雄基26歳」
た「笑。まあ、うまいこと繋がるとこと繋がらないとことあるんですけど、」
ぱ「土地柄とか県民性とか、あとはタイミングとか?」
た「はい。それで、協力店さんどうしがつながる場合もあったりして、“じゃあ今度あの店で飯食って箸袋折るわー”とか。で、別で、たまに店員さんじゃなくてそこの常連さんが僕に電話くれるときとかもあって。“今どこおんねん、箸袋めっちゃたまってんで”とかって。」
ぱ「おもしろい!」
た「そうなると、その店対ぼくの1対1じゃなくて、お客さん含めて三角形、でまた別の街人含めて四角形とかになっていくわけです。なんていうか、街ってそうやってできていってるのかなって思うし、」
ぱ「街の人々の人間関係の網の目をシャッフルするといったらおおげさだけど、脱構築、再構築するきっかけとして機能する場合もありますね、おおいに」
た「話題は、あんなやつが街に来たわ、ぐらいでいいんですよね。ちょっとでもなにかひっかかってくれればおもしろいかなって」
ぱ「だってね、キママのおじさまなんてね、なんとなくわかるとおもうけど、ご自分から“きのうこんなおもしろい人が来ましたよ”とか言うかんじの人じゃないじゃん?」(キママのおじさますんません)
た「笑」
ぱ「そんな人がそういうって、相当だなって思ってね」
た「あーそれはめっちゃうれしいですね」
ぱ「素敵だっておっしゃってました。俺も若かったらなーって。うらやましいみたいよ」
た「いやいや、ありがたいですね、それでぱっこりんさんともこうやってお会いできてるわけですし。たぶん箸袋のお店だけ行ってたらね、こんな広がりはないからですね」
た「話ちょっと違うかもしれないんですけど、自分はSNSとかで各地で訪れた場所をあげてるんですけど、そしたら、“あいつを○○へ連れていかないと、この県が○○やと思われる”みたいなかんじで連れてってくれたりするんですよ」
ぱ「すごいわかります、その連れて行く側の感覚。見栄っ張りっていうかおせっかいっていうかなんていうか笑」
た「それは自分はすごくうれしくて。いいんですか自分で?って思うんですけど」
ぱ「謙虚ですね」
た「いやだってね、もっと発信力ある人をお連れした方がたぶんいっぱい広まるのに、自分でいいんですかってかんじなんですけど。ってなると、街のことも知れるし、お店のことも知れるし、店主さん、常連さん、街のひとたちと作っていけたらいいなっていうね。
いろんな人がSNSでこれまでシェアしてくれたのとかコメントとか全部写真に撮って残してて。これが広まっていくアーカイブみたいなのが残ってもおもしろいのかなって。地道やったけど、記録として?ある街でシェアされたのが横の街で見られた、じゃあ100人が見て、その人が広めてくれてって円が重なって、結果、日本の人たちがジャパニーズチップ知ってるとか一回は見たことあるそんなふうになってもいいのかなって。」
japanese tip と私(⑤旅人に直撃2)
(インタビューつづき)
- 全国各地から作品を集める
ぱ「手を加えられた箸袋を集めること自体は、どうやって?」
た「協力店さんに箱と着払伝票をお渡しして。なるべくお手間を頂戴しないで済むようにしたいなとは思ってるんですけど」
ぱ「それはある程度数がたまった段階で、お店判断で送ってもらう感じですか?」
た「お店判断でいうと、たまったら送ってきてくれはる時もあるんですけど、タイミングちゃんと伝えられてない部分もあったと思うんで、今はお手紙を送るようにしてます、展示したいですって。」
ぱ「じゃあ、協力店としてアナウンスされてるところは、お客さんが折ってくれた箸袋を集めて送るってところまで含めての協力店なんですか?」
た(うなずく)
ぱ「そこまで理解してオッケイもらって、あのPOP設置になるわけですか」
た「そうですそうです。」
- 非効率的でも、核の部分を直接伝えたい
た「“自分、店まわる意味ないやん”って言われることもあって。それは、活動を広めるんやったらPDFとかで説明をダウンロードしてやってもらったらいいやんってニュアンスなんですけど、」
ぱ「トップダウン的な?」
た「そうそう。自分としては、協力店の方が、まず理解してくれたり、ご自身のことばで説明してくれたりってかんじになるように、そこまでの関係を築きたいって思いがあって。」
ぱ「面と向かって話すとまたちがいますもんね。辰巳さんの分身というか、共鳴してくれる人が各拠点に確実にいるように、みたいな?」
た「たぶん、お客さんが全然作品をつくってくれないお店もあるでしょうし、店員さんが途中でなんかおもしろくないなってなる場合もあると思うんですけど、一応ひと通り話をして、オッケイって言ってくださったところを、載せさせてもらってます」
- 成功事例:ジャパニーズチップを独自の文化に発展させるお店
ぱ「いま宮崎で39都道府県めまで来られて、手ごたえとしてはどうですか?例えば日本列島の地図でみたとき、各都道府県に拠点というかピコピコ光を放つお店はあるんですか?」
た「そうですね、各都道府県、一店舗ひとりは絶対ピコピコしてくれてるなっていうのはあって」
ぱ「それすごいですね」
た「だから電話したりするのも楽しみだし、応援してくださってるのもわかるし、これだけ集まったよって写真送ってくれたりSNSで共有してくれたり。たとえばこれは愛知のお店なんですけど、これびびったんですよ」
た「店員さんからのレポートが楽しくて。だんだん進化してきてるよーとか。あ、びっくりしたのが、あるお店なんかは、“箸袋作品つくってくれたら5円お返しします”ってシステムはじめたりしてて」
ぱ「えー?!太っ腹!チップにキャッシュバック?斬新が過ぎる!」
た「もう、なんか、勝手にこれを利用してくれて、お店ならではのものにしてくれたらいいなって思うんですよ。いろんなきっかけにしてくれたりね」
ぱ「醍醐味ですね。生き物っていうか。そのキャッシュバックはどちらのお店ですか?」
た「それも愛知ですね」
ぱ「愛知すごいですね。順応性?適用力?応用力?」
た「ありがたいですよね」
- 旅の苦労話:詐欺師あらわる
ぱ「いま聞かせてくださったが成功バージョンとしたら、逆に苦労バージョンというか、これきっついみたいなの、言える範囲で教えていただけませんか?」
た「きっついのは、詐欺師と二日寝たことです」
ぱ (・ω・)
た「長野で住み込みで1か月くらい働いたんですよね、それでまあ旅の資金を貯めて、よし次の場所に行こうって行ったのが金沢で。あるときベンチに座って調べものしてたらおじさんが近づいてきて、旅人か?って話しかけられて、仲良くなって、どこで寝てんのか言われて、車でって言ったら、それはいけないと。俺の知ってる温泉宿があるからってその社長さんて人が連れてってくれて、そしたらその人が詐欺師だったってオチなんですけど」
ぱ「お金とられたんですか?」
た「(うなずいて)、一日目は全部出してくれたんですけど、二日め、奥さんが来るからお前を会わせたいって言われて、また宿を取り直して、で、もし延泊してくれるなら、お前の時間もとってることやし、小遣いもやるからって。でも今手持ちがないから貸してくれっていわれて、」
ぱ「貸したっちゃ?」
た「そう。人にね、金なんか貸したことないくせにね、もう完全に今までの信じとったんですよね」
ぱ「わー、それが心理戦というか、テクニックなんですかね」
た「長野で働いた分くらいいかれて」
ぱ「まじで・・・それはへこむね・・・」
た「そう。その前、東北ですっごく人の暖かさに触れて、みなさんに助けてくださったりして、それに自分の心は慣れてて。日本人のなかにもこういう悪い人もおるんやなっていうね。しばらく、結婚詐欺に遭ったじゃないですけど、あの笑顔もウソやったんか・・・とかね」
ぱ「人間不信になりそう」
た「しばらく車のなかでちーんってなってましたね。しかも3時くらいまで飲んでたから、散々飲んで、だまされて、すごい二日酔いとかで」
ぱ「それも計算やっちゃろうか・・・」
た「で、ママ。ある日一緒に行ったお店のママと翌日ホテルに行くことになったから送ってくれって言われて、連れていって、行方をくらましたから、ママ知ってるはずやと思って電話したら」
ぱ「グル?」
た「ママも金騙されとったんですよ」
ぱ「ダブル~?うんにゃもこはのさん」(鹿児島弁でオーマイガッ的な意味)
た「いろんな人を信用させてね」
ぱ「ひきつけるだけひきつけて、すごいですね」
た「まあそういう人もいっぱいおるんやなって思ったりもしてね」
ジャパニーズチップ辰巳さんの旅ブログ「詐欺師あらわる」はこちら
japanese tip と私(④旅人に直撃1)
ぱっこりん(以下、ぱ)「まず、Japanese Tipの活動についてなんですけど、すみません私よくわかってなくて、参加店から作品?を集めて、ゴールは展示なんですか?」
たつみさん(以下、た)「ゴールは、展示、、、じゃないんですけど、(あつまったTipを)一回みんなに見てもらいたいのが展示で…ゴールというゴールはそんなに設定してないんですけど、あ、そう、クラウドファンディングのゴールが展示ですね」
ぱ「あ、そうなんですね、すみません、ちゃんと把握してなくて」
た「あーいえいえ、自分のなかでもゴールとして定めてるかはちょっと難しいとこなんですけど。まあ、これが日本のチップだったらおもしろいなっていうので、自分は(飲食店バイト時代に)片付けてて、楽しくなったんですね、妄想することで。で、この木のPOPを置いてもらった店が一回それを経験して喜んでくれたら、お客さんもこれをつくることで楽しくなってくれたら、仮にこのPOPがなくても、店員さんの頭にあれば、しばらく続くと思うんですね。そういうことになればいいなと思ってて。」
ぱ「なるほど」
(辰巳さんの故郷・奈良の吉野中央木材株式会社でつくられたJapanese TipのPOP。この木のぬくもりと、見た目のかわいさなどで、「これならテーブルに置いてもいいよ」という飲食店もあったそう)
- 「あたりまえ」への違和感
た「ひとつの目標としてあるのが、難しくてそんなん無理やってなるかもしれないんですけど、今どんどん機械化されて、サービスもシステムの一環みたいになって、日本は特に、サービスもあたりまえ、ごはんが常にたくさんあるのもあたりまえで廃棄率も高いみたいな世の中で、それがあたりまえになりすぎていくと、例えばですよ、僕SFとか好きなんですけど、戦争になりました、食べ物ありませんみたいになったら日本人うわーってなると思うんですよ。そんな可能性もなるなかで、ちょっと“ありがとう”とか“ごちそうさま”っていう言葉の意味を見直すきっかけのひとつになったらいいなあっていうのも、あるんですね」
ぱ「おーーーーーーーー」
た「で、それを、海外の人にも、いろんな人が“ありがとう”や“ごちそうさま”を伝えてるんだっていうのを見てもらいたい。それが形として残る、日本人ならではの手の器用さ、折り紙文化やおもてなしとしての箸袋文化を使って、しかも今までなかったものを使うんじゃなくて、あったものを使って伝えるっていうのが“Tip”になって、それでコミュニケーションしてるんだっていうのを、海外の人にも見てもらいたいっていうのもありますね」
ぱ「なるほど。いわゆる欧米文化のチップに対してっていうのが起点だったというわけでは必ずしもなかった?」
た「必ずしもなかったですけど、疑問はあって。海外に行ったときにチップを払わなければならないって教え込まれるじゃないですか。15%や、とか。でもそれって、ある種日本人感覚でしかなくて、向こうの人たちの文化では、もらう人はそれが生活の糧になってたり、渡す人はサービスの質に応じてチップの金額変えてたりとかして。めっちゃサービス良かったら500円のハンバーガーに1,500円払ったり、逆にサービス悪かったら払わなかったり。
で、日本はというと、サービス料ってなくて、強いていえば商品の値段に含まれてる。で、いま海外でもサービス料含むってなってるところも多くて。そういう時代背景もあり。で、また調べてると、箸袋も減ってきてて、ほんとにここ1~2年とかのことで、エコとか経費削減とかで。」
ぱ「(うんうん)」
- おもてなしとしての箸袋、日本特有の折り紙文化
た「箸袋との歴史を調べてたら、一説なんですけど、平安時代くらいから、当時まだ紙はなかったけど箸袋を“包む”という文化がでてきたみたいで。で、中国から紙が入ってきて、貴重なものだったから、奉納用に使われたりしてて。箸も神聖なものじゃないですか、口に入れるものだし、だから、大切な客人の箸を“包む”ようになったと。
折り紙の歴史は折り紙博物館に行って知ったんですけど、折り紙ってもともと西洋から入ってきたらしくて、日本人がそれを採り入れて独自に発展させまくったらしいんですよ。で、今となっては“日本といえば折り紙”くらいなってますけど。
だから、“紙で箸を包む”ってこと自体が、とても日本らしいことなんだなってわかって。で、だんだん、箸の袋に文字とか印刷しだしたのがショップカードだったんですよね昔は。」
ぱ「そっか!じゃあ今よくある名刺サイズのショップカードの普及と、箸袋の減少、両者には相関関係があるわけだ?反比例っていうか。おもしろい!」
た「そう。で、いまネットで食べログとかあるから、それさえもいらなくなってきてるっていうか。紙の本が電子書籍化してるみたいな。」
ぱ「興味深いですね。」
た「もちろん経費削減って面もあると思うんですよね。箸袋代や印刷代かかるし。でも、そもそもの箸袋の歴史とか意味、大切に包んでもてなすってことをみんながわからなくなってきてて、なんとなく廃止してるところも多いんじゃないかなって思って。」
ぱ「道具に対する意味づけって、重層決定っていうか、社会の状況とかで流動的に変わっていきますもんね、恣意的っていうか。それ実におもしろいですねー」
た「なにげなく減ってるからうちもやめようかみたいになってるけど、たぶん、本来を調べると、客をもてなすっていう日本らしい文化の表れだったんじゃないかなってね」
ぱ「辰巳さんあれですね、そういうのに疑問をおぼえる性分なんでしょうね」
た「(笑) なんかね。そうそう。あたりまえに変わってきてるから、そこへの危機感っていうか、なんていうかな、僕は日本に生まれ育って、やっぱり白米が好きで、みそ汁が好きで、日本大事にしたいっておもうんですけど、改めて立ち返ってみて、空(から)になったらだめやと思うんですよね。向こうの人たちの方が日本のこと詳しかったり日本の文化を理解してたりって場合も多いと思うし。そんななかで、削減するものと残すもの、なにを継承していくかとかはやっぱり大事なんかなあって、ちょっとまとまんないすけど」
- そして旅に出る
ぱ「ご自身のなかに軸があって、それを通して決めたいっていうか、一回自分の頭で考える人なんじゃないですか?みんなが言ってるからとかじゃなくて」
た「ああ、そうですね。このJapanese Tipを広めるにあたっても、たとえば、この活動に参加して、ハッシュタグつけてSNSに投稿してくれたら、10円を誰かに寄付!とかやったらとか提案もらうんですけど、ピンと来ないというか、そういうのはまったく自分のなかになくて。寄付されたい人に会ってないし、誰を救いたいとか別にないし。そういうのってハッシュタグで投稿数自体は増えても、素の部分もちゃんと広まるんやろかって。」
ぱ「核になる思いをちゃんと伝えたいわけですな」
た「(笑) まあ、もの自体がおもしろかったから(箸袋の造形物)、それをコレクションしたいっていう欲もあったんですけどね」
ぱ「それを、いろんな地域のいろんな柄の箸袋でつくられたTipをコレクションしたいということで、旅が始まるわけですか?」
た「そうです。で、全国の店員さんが経験してくれたり、全国のお客さんが経験してくれたりすることで、これはよかった、これはおもしろかった、めんどくさかった、とかいうひとつひとつのケースを集めたいなと思ってて、最終的にそれらが作品全体のいっこのメッセージになればいいかなと。だから、ゴールというより、実験をしてるって感じなんですかね」
ぱ「ボトムアップの極み、参加型アート、形のないものをつくる壮大なアート作品というかプロジェクトですね、やっぱアート、たつみさんアーティストなんですかね?」
た「コレクター。笑」
つづく
japanese tip と私(③ 旅人に会う)
火曜日、午後。
その日は宮崎県串間市から鹿児島県霧島市へ向かう予定とのことで、都城集合。
現れた旅人の車。
SUGEEEEE!!!いかす!
なんかもうこれが全てを物語るよね。。。
すごい荷物!
とりあえず、お腹空いてるか確認したら空いてるとのことだったので、中途半端な時間も開いてるありがたい夾竹園(南九州にある焼肉チェーン店)で旅人に栄養を!私も食べるし!
肘の角度
わたしはさ、ただの御節介おばはんなんだけどさ、初海外ハタチのとき1人でイギリス一カ月リュック一つで行っていて。離婚してイギリス帰ってしまった英会話教室の先生(英国人女性)をたずていくんだけど、まあその方がほんとによくしてくださって、「なんでそんなによくしてくださるんですか?私、あなたに、なにもお返しができない。どうしよう」って素直に問うたところ、彼女が言ったのです。
「私がバックパッカーで日本を旅していたとき、たくさんの日本人にほんとうに世話になって、たくさんの親切をもらった。だから、私があなたに親切にするのは彼らへの恩返しでもある。だから、あなたも、次の人に返してあげて」って。そんな旅人バトンがあるのかと。粋だなあと。で、彼女にばかり世話になるわけにはいかないと、滞在期間の三分の二は一人でぷらぷらし、知らない人からの、字通り数えきれない旅先での親切に助けられたわけです。
私が人生の師と仰ぐ彼女とは今でもFacebookで繋がりがあるし、毎年クリスマスカードいただくし、「Think Global, Act Local」を実践しつづける姿ほんとすばらしく。
って話それましたが、パクパク肉を食らう頼もしい若者タツミさんを眺めながら、負けずにパクパク食べながら、そんなことを思い出していたのです。わたしにだってハタチのころがあった。じゃなくて、彼が、私の自己満足旅人バトンに参加させられてしまった瞬間でした。
肝心な、話の内容は、つづく。
japanese tip と私(②魅力。シロくま先生と情報の手繰り方)
前回さいご概念的な話してしまいましたが、
時系列にいくと、キママブックスでJapanese Tipを知ったのが月曜日。
その着眼点やコンセプトおもろーと思いつつ、旅の途中でなぜキママに寄ったのかなど、まだいまいちつかめず、その場でキママさんに教えてもらった主宰の旅人のインスタアカウントをフォローし、#japanesetip タグで、あ、恋史郎さんにもいらしたんだね?私的にはまだぼんやり。
「なまえをつけよう」の絵本のシロくま先生がこれまた素敵なかんじで、こんな大人を味方につけるに足る魅力ある若者、いいなー私も会ってみたかったー!いろいろ話してみたかった〜。でもケンキョラスみていただけて、「宮崎の冊子」として認識いただけたようでよかったわー、と、うざいかもだが勝手にタグ付けさせていただき、
そのまま、夜は、約束していた友達と、なかなかな聖地こと「天一」さんでローヤルゼリーパワーで風邪もすっかり治り(ほんとに治ったからパワーすごいと思われ)
なかなかどうして大爆笑で最高な夜を過ごし(ここはここで素晴らしいネタなので、別枠で書きます)
ふと見たインスタ
タツミさんご本人から、こんなコメントが。
え?旅人に社交辞令なんて言ってる暇ないよね?会いたがってくれてるなんて全然きいてない!!
ちょっと、、教えてよ!!
でも「また宮崎遊びに来ます」ってことは、He's gone?
そして状況をつかむべく酔っ払いながらもググッて、Facebookでみつけたこちら
がびーん、宮崎入りしたのは土曜日だったのか。。絶賛発熱寝込み中でなにも見てなかった。。くそー
そして、ここで初めて、プロジェクト参加店を探してまわっていること、情報を求めていること、などを把握するわけです。遅い。
ちょっとー、だれか、教えてよ。。。
旅人とは本来困ってる生き物でしょうよ?と、もとバックパッカーだったのと、かごんまのおせっかいおばはん気質発動。
まして、こんなプロジェクトしながらなにかを探している旅人。
電話くらい取れたしさー。
いや、だめだね、自分のアンテナと、みんなとの信頼構築が足りない証拠だね、もー!!
これ、箸袋取扱うお店、辿りつけたんやろかこの人、、、
と、クールにあがってる成果
特に、岩戸に辿り着いてるの個人的にまじすごいと思って。
なぜなら、「どこだっけ、あったよなたしか、バイトの女の子たちがかわいいイラスト付けて、手づくり感あふれる居酒屋。。」それか岩戸でしたの。
恋史郎さんやキママさんできいたんやろか?
ネットで検索?
どういう情報の手繰り寄せ方を...?
街をぶらぶらしてお店をまわるのと、Japanese Tip参加店を探すことの関連性が、まだいまいちよくわかってないポンチな私。
と、送信していた「会いたがってくれてるなんて存じ上げず、すみませんでした。私こそお会いしたかったです!」的なメッセージに翌朝ていねいな返信をいただき、お会いする時間つくっていただけることに。
やー、よくわかんないけど、とにかく会って話してみたい!話さなければ!というなぞの使命感にかられ、会いに行きます。
つづく
japanese tip と私(①ぱっこりん、japanesetipに出会う)
ケンキョラスの在庫状況確認兼ねて、ふらり立ち寄ったキママブックスさんで、「昨日おもしろい旅人が来られましたよ、はい」と見せていただいた参考資料ふたつ。
(いま思えば、お優しいけど表層はクールだったりもするキママ店主さまが自発的にこういうネタ振りなさることがレア)
その旅人の手にも「ケンキョラス」は渡ったようで、ありがたやー。
奈良出身で島根のどこかの島(おい)在住の20代半ば男子が、軽自動車で寝泊りしながら全国行脚しているらしい。
キママさん「車を江平に停めて、そこから街ぶらぶらして、うち(県庁楠並木通)まで来たとと」
私「SUGEEEEE!!」
キ「若いって素晴らしいよね」
私「何の旅ですかこれは」
キ「まあ、読んで、検索しないよ」
キママさんの他には、おおまえ布店さん、恋史郎コーヒーさん、真ん中ビルさん、on liveさんなどへいらした模様。
japanesetipとは?
始めたきっかけは?
目的は?
それらすべてはこちらにまとまっています
わたしなりに説明すると、”japanesetip”(ジャパニーズ・チップ)とは、飲食店でのおもてなしや美味しいごはんや食材への感謝の気持ちを「箸袋」を折ることで表現するもの。
欧米の「ありがとう」がチップなら、
japanesetipの「ありがとう」は折り紙のように大切に折られたり謎の形に手遊びされたりした、いろんな形の箸袋。
そんな箸袋を全国各地から集めて並べて、展覧会を行うのだそうです。
まず折ってる自分が楽しくて、受け取ったお店の人も笑顔になれる。
「お客さん」と「店員さん」とが感謝の気持ちでつながることができるjapanesetip。
で、ですね、さらにわたしがこれに惹かれた理由は以下にあると考えます。
「海外に行くと改めて日本のお店の対応の丁寧さに気づかされる。なのに、最近大げさにクレームをつけているのでは?と感じる場面に出くわすこともある。日本人はもてなしを受けるのが”あたりまえ”だと思い過ぎているのでは?」という疑問があったと、主宰の辰巳雄基さんは書いています。
それはまさに私も常日頃から感じてた違和感だったので、すごく共感しました。
どっちかというと私は「すばらしいもの」を共有するときに客だ店員だという立場は関係ないという考え方(勝手にオーボンヴュータン理論と呼んでいる)寄りなので、そこまでホスピタリティ要されるべきでない場(ディスカウントストアとかコンビニとか)で過剰に偉そうにする客や過剰にへりくだっちゃう店員に遭遇するにつれ「そんな...」と疑問を通り越して切なくなったりしているのです。で、そういうところで声を荒げている「客」自身もところ変われば「店員」(つまりサービス業従事者または個人事業主)だったりするから、ちょっとちょっとー、負のスパイラル回し合ってどうするー、と、わが国における低賃金感情労働従事者の闇は深いと自戒も込めて勝手におもってる。
japanesetipはともすれば必要以上に上下関係がひらいてしまいがちになる「お客さん」と「店員さん」の関係性のバランスを、不満やクレームなどのネガティブな感情ではなく、感謝という前向きなそれで整えるのにも一役買うんじゃないかと期待できます。「美味しかったーありがとう!」って言われたら「こちらこそ美味しく食べてくれてありがとう!」ってなるじゃないですか。鏡ってやつ?
なので、マンネリしがちな両者の関係性にちいさな風穴を開ける、あたらしいコミュニケーション・プロジェクトなんだと思います。
ちょっとおおげさですかね。
まずはjapanesetipの説明をとおもったら、長くなってしまったので今日はここまで。
次回は、japanesetip主宰の辰巳雄基さんに会いに行く、の巻。
japanesetipのサイトはこちら
すうひゃん。さんの個展「リトルメロディ」鑑賞してきました
すうひゃん。さんの個展「リトルメロディ」鑑賞。
1/18水〜1/22日、宮崎県立美術館、行ってきました。
なんと包括的な。自分のなかにあるさまざまな感情と対峙させられる。子供モチーフの作品多数。今回の私は強烈に「孤独」や「憂い」を感じとった。静かに爆発してる瞬間を切り取ったかんじ。だからこそ感じられる希望や歓びもあり。
「子供は経験以外のすべてをもっている」とは五味太郎談。他ならぬ私自身が子供扱いされることに抵抗を覚える子供だったこと、なんでもないようなことで立ち止まってしまうくらいには感受性豊かな子供だったことも、思い出させてもらいました。