ヨーコとばなな

オノ・ヨーコさんが「今は困難な時代になってきていて、私でさえ生きにくいけれど、一日にひとつ、何か心が躍ることをしてください、なにひとつそれがなかったら、誰かほかの人にそれをしてあげてください、そこから世の中が変わっていくのだから」というようなことをインタビューでおっしゃっていて、なんとすばらしいことを言うのだ、と深く感じ入りました。

私にとっていつもそれは、こつこつと小説を書いて、それが誰かに届くことです。“

 

と、よしもとばななさんが「吉本ばなな自選選集4」のあとがきで書かれていたのに深く感じ入り、それが出版された2001年当時から手帳に書写するなどしてことあるごとに引用しているのですが、先日久しぶりに実家から持ち帰り、読み返して、これをばななさん三十六で書いていた事実に驚きを隠せない。

 

 ”人生についてのあれこれを書くことこそが私のしたいことだ!と鼻息も荒く書き続けてきたはずなのに、まとめて読んだらやはり・・・・。絵のない『ひな菊の人生』や『悲しい予感』は迷子のようでさえありました。さらに最後の短編に至ってはエッセイなのか小説なのははっきりしろ!っていうくらいに、着地点を見失っている・・・しかし、これこそが、今、三十六歳の私の、いるところなのでしょう。

 

(中略)

 

そう思うと、人生は短いのです。書きたいものを思い切り書いて、愛する人々と助け合って、思い切り泣いたり笑ったりした後、この美しい星の上で、天寿を全うして死んでいけたら・・・、そう願います。それはそんなに大それたことでも、甘いことでもないと、三十六歳になって、まだ本気で思っています。

 

(中略)

 

 

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