足るを知りたい女のはてしないたわごと

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秘密の手紙

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    歌手活動をしている小中学校の同級生がレギュラー出演していた鹿児島のテレビ番組を見た。ちょうどアナウンサーが彼の地元でゆかりのある人物や場所を取材してくるという企画で、本人が大好きだと公言するこの辺では馴染みの「ラーしも(通称)」を紹介しているところだった。通っていた中学がすぐ近くなので、よく部活の帰りにみんなで寄り買い食いした店。当時まだ土曜の午前中は登校していたから、放課後に行くと先生達に遭遇することもあり微妙な雰囲気になっていたこと、目の前の県立高校の生徒もたくさんたむろしていたことなどを一気に思い出した。

    久しぶりに暖簾をくぐる。卒業後も数回は行った記憶があるが、それでも15年くらい振りだと思う。テレビを見た時から薄々気づいていたが、みんなに「おばちゃん」と呼ばれていた店主は、肉眼でもあの頃と何一つ変わらないようにみえる。淡々とラーメンをつくり、愛想笑いとかしないタイプの美人。私は中学生から中年になったのに、おばちゃんはそのままだ。自分一人だけが歳を取ったような錯覚に陥りながら店内を見渡すと、壁に掲げられたメニュー板の変化に気づいた。昔はうどんやフライドポテトもあったが、今はラーメンだけ。あとは、週刊誌や漫画が並ぶ棚の上にあるテレビがブラウン管じゃなくなっていたことと、その同級生のサインが飾られていることくらい。

    中学の頃はラーメンはラーメンだと思っていて、つまり世には多種類のラーメンがあることをまだ知らなかったから、ラーしもは醤油ラーメンだということも今回初めて認識した。甘い甘い醤油味の茶色いラーメン。チャーシューももやしも、あの頃と全然変わらない気がして嬉しくなった。私のラーメン原体験は、醤油ラーメンだったのか。

    ノスタルジーに浸りながら食べていると、おばちゃんが串良ですか?と話し掛けてくれた。かくかくしかじかテレビを見て来たと話すと、彼女と共に厨房に立つ娘さんが、あの取材は本当に大変だったんだよと教えてくれた。恥ずかしがり屋のおばちゃんは、フレームから外れるよう外れるよう逃げまくっていたらしい。番組で印象的な場面があった。取材後おばちゃんが「あの人に渡して」とスタッフへ手紙をこそっと託すシーン。すごくおばちゃんらしい感じがして好きだった。それをスタジオで受け取った歌手がカメラの前で泣いたり手紙が読み上げられたりしなかったのが、私としてはさらによかった。

ラーメンしもむら

鹿屋市串良町岡崎2555