【読書感想】くどうれいん「わたしを空腹にしないほうがいい」
瑞々しくて、甘酸っぱくて、なんかもうどうしようもなく青春だなぁーと、きゅんきゅんしながら読んだ。緩急織り交ぜた文体は実に読みやすく、俳句とエッセイの大喜利みたいな関係も味わい深く。
おばあちゃん、かわいいなあ。
方言、いいよなあ。
インスタでその存在を知った、歌人 くどうれいんさんの本。
山田詠美のたとえを借りると、「書かずには、自分が自分じゃいられない人種」って、古今東西、手を替え品を替え、いるんだなと。
対談ページの「注文」ていうのが、よかった。
追記。
あれを「青春だなぁー」と言ってしまうあたりに、自分の加齢を感じる。なぜなら、その渦中にいた年頃の私自身が、それを青春とひとくくりにされることに潔癖なくらい反発していたことを思い出したから。「思春期や青春一般の話ではなく、これは私個人の話だ」みたいな文を書いていた記憶あり。今となってはそれ自体がもう青春。思えば遠くへ来たもんだ。順調に図太いオバタリアンへ成長した。同時に、あの頃に比べるとずいぶん生きやすくなった。当時の筆者をぎゅっと真空パックしたような、くどうれいんの文章に触れ、そんなことまで思い出したのだった。それくらいみずみずしくて鮮やかな本だったってことです。
美しさは若さではないが、若さは美しい。